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ピエール・ルメートル 『その女アレックス』

その女アレックス (文春文庫)

「このミステリーがすごい!2015」
「週刊文春2014年ミステリーベスト10」
「ミステリが読みたい! 」
「IN POCKET 文庫翻訳ミステリー」の海外部門で1位。
「英国推理作家協会 インターナショナル・ダガー賞」、「リーヴル・ド・ポッシュ読書賞」(フランス)受賞。
昨年最も話題になった翻訳ミステリーです。
ネタバレが嫌な人は読まないでください。



あらすじ
おまえが死ぬのを見たい――男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…… しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。 (裏表紙より)



様々なメディアで取り上げられるたびに「なんの先入観もなく読んでほしい」と言われているので、これから『その女アレックス』を読もうとしている人はこんな駄文さっさと放り捨ててすぐ読書に取り掛かってください。

上述したとおり、帯の惹句や書店のPOPなどの喧伝文句がハンパないです。著名な翻訳家・批評家が軒並み高評価を与えていて、読む前から随分とハードルが上がっていました。
アレックスという女が乱暴に監禁される場面とその誘拐事件に関する警察の捜査の場面が交互に語られることで物語は進んでいきますが、ここまではあらすじに書かれていることで、しかもそれは全体の3分の1程度。そこを乗り越えてからがこの小説の本番です。
"追う者と追われる者"という構図は、とりわけミステリーの世界では警察あるいは探偵と犯人の関係性を象徴するものとして描かれますが、『その女アレックス』においてはこれが二転三転します。明らかにされるべき主題がアレックスの謎に関係しているのは途中箇所でも最終的帰結でも一致しているのに、ストーリーの経過を辿りながら追っていくとその様相はまるで変わってきてしまいます。アレックスを巡る物語が探偵役であるカミーユ・ヴェルーヴェン警部の個人的な事情と共に描かれているため通常のミステリーとは違った情念的で且つ耽美的な感覚さえ窺えます。
ここを読んでいるのは別にネタバレされてもいいと思っているか読了している人だと思いますので書きますが、言ってしまえばこの小説は同時期に観た映画「ゴーン・ガール」を彷彿とさせる内容でした。ともに女という存在の怖ろしさを描いていた作品で、「ゴーン・ガール」は"結婚"というキーワードを主に描かれていた佳作でしたが、あれも二転三転するものでした。終わりだと思っていたのがただの途中経過でしかなく、その後にさらに凄惨な出来事が続くといったところも類似点が見受けられました。どちらもいろいろと手際が良すぎるところが引っかかるといえば引っかかるんですけど。
警察の面々もデコボココンビ、成金と吝嗇家など象徴的に描かれていてキャラ小説としても読みごたえあり。特にサブストーリーであるヴェルーヴェン警部を取り巻く事柄についてはラストの場面で感動してしまいました。

若干のハイプ感は否めないものの、これだけ話題になるのも納得の面白さでした。とにかく橘明美氏の訳文が非常に読みやすい。文章からは、ねっとりとした感触というか、知らぬ間に首筋にナイフの切っ先を当てられたかのような冷たく、そして心の奥底で煮えたぎる怨嗟の念を感じます。映画化も進められているようなので公開されたら見ようかなぁ。上質なサスペンスでした。

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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