NHK Eテレでも「ごちそんぐDJ」という番組をやっていることもあり一般的にはそれほど無名ではないのかな、と思います。その親しみやすい柔らかな楽曲とひたすらに料理のことについて歌われる歌詞が印象的で、絵描き歌や手毬歌など何かの目的として歌という媒体を用いることは古くからありますが、ここまで料理にこだわってラップをやっているところにDJみそしるとMCごはん(略称はおみそはん)の魅力があります。食は生活の基盤であり中心であり絶対に欠かすことのできない要素、だからいろんなものを工夫しながら楽しく調理して美味しく食べようという、まさに無限大の料理愛に溢れたアルバムです。 このゆるゆるなコンセプトに辟易してしまう人もいるかもしれませんが、楽曲のクオリティを蔑ろにしているわけでは決してなく、むしろそれぞれの曲には彼女の作詞作曲センスが爆発していて、日本語ラップの新たな地平(というか違う方向からのアプローチ)を拓くのでは?と思ってしまうほど。老若男女が口ずさめる親しみやすいメロディとよくぞこれだけコンセプトに沿って書けるものだと感心してしまうその歌詞、意外にもブラックミュージック、ジャズ、ファンクなどに通じた音楽性とのギャップ、どこを見ても個性的できちんとしていてみんなから愛される存在って思えますね。