The Best Metal Albums of 2018
新年度になっちゃいましたが、2018年に良かったと思うアルバムを並べました。
タイトルはいろんなサイトからのパクりです。
No.30
TOMB MOLD 「Manor of Infinite Forms」
カナダ産デスメタルバンドの2nd。
初聞きバンドだが、その強烈な死金属世界にガツンとやられてしまった。
地を這いずり回る重厚なリフに差し挟まれるなんとも言い難いフレーズが、じわじわ効いてくるボディブローのようにクセになってくる。
No.29
RIVERSIDE 「Wasteland」
ポーランド産プログレッシブ/ゴシックロック/メタルバンドの7th。
オルタナ化して久しいが、初期からのヨーロピアン的ゴシカルな雰囲気は根底にいつまでもあり続け、しかし抒情や哀感などは一条の光明のように変換され、どのようなスタイルになっても"Riverside"の矜持は保ち続ける。
そんな音楽家としての彼らに尊敬の念を禁じ得ないのです。
No.28
MANTICORA 「To Kill to Live to Kill」
デンマーク産プログレッシブパワーメタルバンドの8th。
前作から8年も経っちゃってるのねぇ。ぼくの大好きな「Hyperion」を彷彿とさせるアルバム構成で、デンマーク産らしいプログレ風味もがっつり決まってる。
そのめちゃくちゃ硬派なヘヴィ/パワーメタル然とした音楽性は健在で否が応にも血が滾ります。
No.27
WIEGEDOOD 「De Doden Hebben Het Goed III」
ベルギー産ブラックメタルバンドの3rd。
1stから続く三部作の最終作ですね(全部は聞いてないですが)。アトモスフェリックな部分とトレモロリフに乗せたFastでCoolなハードコア部分に身体の隅々まで蹂躙されていく錯覚を覚えます。
No.26
AUGURY 「Illusive Golden Age」
カナダ産テクニカルデスメタルバンドの3rd。
祝・Augury復活!(別に解散してない)ということで約9年ぶりのアルバムです。
個性的でテクニカルなバンドが多いイメージのカナダですが、Auguryも御多分に漏れずカナダ産テクデスの潮流に鎮座しています。新譜では前作、前々作に見られたコズミックで面妖な雰囲気は鳴りを潜め、ワールドワイドなわかりやすさを兼ね備えたテクデスとなっていました。
No.25
SEVENTH WONDER 「Tiara」
スウェーデン産プログレッシブメタルバンドの5th。
発売までが長かった新譜ですがやっとこさリリースされました。
歌メロの充実度がハンパなく、2nd「Waiting in the Wings」にも匹敵するほど美しい旋律が随所にちりばめられています。
楽曲を彩る各プレイヤーの技術もさることながら、Kamelotでの経験を生かしたTommyのさらに伸びやかになったハイトーンヴォイスが中核となり新たなファン層を取り込むであろう傑作に仕上がっています。
No.24
BEYOND CREATION 「Algorythm」
カナダ産テクニカルデスメタルバンドの4th。
先行公開された"The Inversion"を聞いた際、2ndっぽい曲だなぁと思い楽しみにしていた念願の新譜。
アルバム全体としては3rdに近いが、縦横無尽にうねりまくるベースのプレイに魅せられまくりで満足でした。
No.23
OUTER HEAVEN 「Realms of Eternal Decay」
アメリカはペンシルバニア産デスメタルバンドの1st。
腐臭漂うオールドスクールデスで、突然鳴り響く不協和音やパワーヴァイオレンス的な突進力など単に重低音でぐちゃぐちゃに攻めまくるデスメタルではなく、きちんとした構成が取られており緩急の妙により気持ち悪いリフが目立つこと目立つこと。Skaletal RemainsやBlood Incantationの系譜に連なる地獄デスの新人です。
No.22
ALKALOID 「Liquid Anatomy」
Christian MünznerやHannes Grossmann、ObscuraのLinus Klausenitzer、Dark FortressのMoreanなどが集まったプログレッシブデスメタルバンドの2nd。
プログレッシブデスと一言で片づけていいのかわからなくなるほど音楽性を言葉にするのが難しい。
その難解な楽曲群は超絶技巧に彩られた醜悪なほどに美しい小宇宙のようで、その深遠を覗くことを躊躇われるほど独自の世界を築いている。
No.21
NECROPHOBIC 「Mark of the Necrogram」
スウェーデン産メロディックブラックメタルバンドの8th。
結成は1989年と既にベテランバンドの域だが、その勢いは衰えることを知らず、最高のメロブラアルバムを作り上げてくれた。
オープニングナンバーのタイトルトラックから悶絶級のリフレインを聞かせてくれ、何回昇天したことか。
No.20
RIVERS OF NIHIL 「Where Owls Know My Name」
アメリカはペンシルバニア産プログレッシブデスメタルバンドの3rd。
各所で絶賛されているアルバムで、今年のデスメタル界を代表する一枚だと思う。
練られた曲構成と管楽器の使い方が絶妙で、メタルという一ジャンルにとどまらない可能性を秘めたミュータントのようなアルバム。
No.19
SKELETONWITCH 「Devouring Radiant Light」
アメリカはオハイオ産ブラッケンドスラッシュメタルバンドの6th。
ブラッケンドスラッシュというカテゴリ名をそのまま体現したような彼らだったがここにきて方向転換。リフがブラック然としてきてランニングタイムも長尺に。
それでも彼らの従来の良さは失わず絶妙なバランスで新たな地平を打ち出したのは見事と言う他無い。
No.18
ALTERBEAST 「Feast」
アメリカはカリフォルニア産テクニカルデスメタルバンドの2nd。
なにも奇を衒わない近年によくあるメロディックデスライクなテクデスだが、一曲一曲がスピーディ、それでいてフックのある曲展開で飽きずに聞ける手軽さもあり今年はよく繰り返し聞いていました。
たまにそれブラダリやろ!っていうフレーズがあったりするのがアレだが……まぁカッコいいのでよし。
No.17
ALTARS OF GRIEF 「Iris」
カナダ産フューネラルドゥーム/ブラックメタルバンドの2nd。
フューネラルドゥームと言いながらブラックメタル的ブラストビートも盛り込んでいるため、かなり聞きやすく緩急が付けられている。
そしてなによりもメロディが号泣必至で秀逸。
No.16
PANEGYRIST 「Hierurgy」
アメリカはイリノイ産アヴァンギャルドブラックメタルバンドの1st。
かつてのKralliceを思い起こさせるようなトレモロリフが迸るブラック然とした音像から、ここではないどこか違う世界へ連れて行かれてしまうような胡散臭い宗教的コーラスが鳴り響く様は危険なにおいしかしないとアンテナがびんびん反応してしまうし、そこからとっつきやすくキャッチーなメロディも聞こえてくるのが余計にタチが悪い。何回でも聞いてしまう不思議な魅力に溢れている。
このバンドを知れたことで2018年はいい年だったと思えるくらい、衝撃を受けた作品であり収穫でした。
No.15
CARNATION 「Chapel of Abhorrence」
ベルギー産デスメタルバンドの1st。
Asakusa Deathfest 2016で来日を果たした彼ら。往年のスウェディッシュデスそのままの音で、これだけで食指が動く人はマストバイでしょう。
1st特有の荒削り感が功を奏し、むちゃくちゃカッコよく仕上がってます。急転直下にリズムが変化するところで脳汁ドバドバ出てしまう。
No.14
HORRENDOUS 「Idol」
アメリカは南カリフォルニア産プログレッシブデスメタルバンドの4th。
Atheist、Gorgutsから始まったデスメタルの支流、テクニカル/プログレッシブデスはその後様々な分派を生み出したが、中でもHorrendousは真っ当なプログレッシブデス、支流の直流と言ってもいいのかもしれない。と思わせてくれるような見事な構築美を魅せる作品。
No.13
HARAKIRI FOR THE SKY 「Arson」
オーストリア産ポストブラックメタルバンドの4th。
ひたすらメロディックに疾走するだけでなく、ところどころで聞かれるフォーキッシュな音像もなお良しで、これはもうポストブラックというよりもメロディックブラックやメロディックデスにも通じる泣きの旋律が素晴らしい。
No.12
TRIBULATION 「Down Below」
スウェーデン産デス/ブラック/ゴシックメタルバンドの4th。
前々作「The Formulas of Death」から光るものを感じていたが、ここにきてこういう形になったのは驚いた。前作「The Children of the Night」で見せた妖気漂う雰囲気をさらに推し進め、彼らにしか奏で得ないゴシカルでエロティックな音像となった。
さながらエドガー・アラン・ポーの「黒猫」「ウィリアム・ウィルソン」などの怪奇小説、「ローズマリーの赤ちゃん」など古典ホラーの面影を探してしまうような音楽性である。幻想小説の匂い漂う傑作です。
No.11
SLUGDGE 「Esoteric Malacology」
イングランド産ブラッケンドデスメタルバンドの4th。
地味に1stから聞いている彼らがここにきてメインストリームへとのし上がってきたな、という印象。1stの頃はナメクジやらスライムやらをコンセプトとする独特すぎる世界観と侮れないクオリティの相反する奇妙さが可笑しく、公言しないまでも注目していました。
それが今作になり、その個性的すぎるコンセプトそのままにブラックメタル譲りの粘性を帯びたリフワークといい一筋縄ではいかないリズムといい、ネタバンドとして消化されることもなく多くを聞いてきた玄人をも納得させる説得力を持つ逸品となったように思う。
No.10
KHEMMIS 「Desolation」
アメリカはコロラド産ドゥームメタルバンドの3rd。
古き良き様式美を湛えながら進行するキャッチー且つドゥーミー、そしてエネルギッシュなリフ群には宝石のような煌びやかさえ感じてしまう。
力強くも哀愁のあるメロディはヨーロピアンな味わいも深く感じられ、独特の湿り気を帯びている。
No.9
REVOCATION 「The Outer Ones」
アメリカはマサチューセッツ産テクニカルデス/スラッシュメタルバンドの7th。
メロディックデスにテクニカルデスを混ぜたような初期の音楽性からコンスタントにアルバムを作り続け、漸くRevocation流のデスメタルが完成したのではないかな。
一聴してまさしくRevocationと思わせる音像からどこに着地するかわからない狂気性を孕んだ危うさを絶妙なバランスで保ちながら疾走するデスラッシュに気づいたらリピートが止まらなかった。
No.8
DEAFHEAVEN 「Ordinary Corrupt Human Love」
アメリカはカリフォルニア産ポストブラックメタルバンドの4th。
前作「Bermuda」より前々作「Sunbather」の流れを汲んだアルバム、といえばピンと来る人も多いだろう。
ポストブラック界の寵児となって久しいが、どの方向性でもDeafheavenだと一発でわかるし、好み如何に関わらずクオリティの高さには頷かずにはいられない。
No.7
ETERNITY'S END 「Unyielding」
AlkaloidのChristian Münzner、Hannes Grossmann、Symphony XのMike LePond、元HibriaのIuri Sansonらが集まったスーパープロジェクトバンドの2nd。
ウルトラ技巧集団が本気でメロパワをやったらとんでもない作品ができちゃいましたという好例。
基本は押さえながら各プレイヤーの技術をふんだんに盛り込んだメロパワにニヤニヤが止まらなかった。ところどころHibriaにしか聞こえない部分があるのは御愛敬。
No.6
THE ARMED 「Only Love」
アメリカはミシガン産ハードコアバンドの2nd。
こんな突然変異なアルバムが出るくらい今の音楽の傾向は全く読めない。自分の中のハードコアという常識をぶっ壊された気分。
理知性と衝動が混濁した言い知れない恍惚感は初めてMelt-Bananaを聞いたときのよう。ジャケットもイカしてる。
No.5
SLEEP 「The Sciences」
アメリカはカリフォルニア産ドゥームメタルバンドの5th。
ドゥームの聖典「Jerusalem」から20年。Sleepの新作がリリースされるという記念すべき年となった2018年は伝説となったのかもしれない。
さあ、みんなもマリファナのテーマを聞いてトリップトリップグルグルグルグルグルグルグルグルグ..................
No.4
AMORPHIS 「Queen of Time」
フィンランド産メロディック/ヘヴィメタルバンドの14th。
彼らの真骨頂である雄大なフィンランドの自然を想起させるメロディとTomi Joutsenの優しく語りかけるような、ときに力強く歌い上げる歌唱が、AmorphisがAmorphisたるアイデンティティを決定付けているのは周知のところだが、これだけ枚数を重ねてもAmorphisとしてのレベルを落とさず常に進化しているのはすごいとしか言いようがない。
No.3
SULPHUR AEON 「The Scythe of Cosmic Chaos」
ドイツ産ブラッケンドデスメタルバンドの3rd。
今作もクトゥルフの世界観は健在。未知の惑星・ユゴスより去来した巨いなる存在が脳髄に浸潤してくる様は否が応にも畏怖の感情を抱かせる。
どんな宗教音楽よりも説得力に満ちたSulphur Aeonの描くブラック/デスメタルは身体が震えるほどカッコいいのである。喩えそれが根源的な恐怖であったとしても。
No.2
CHAPEL OF DISEASE 「...and as We Have Seen the Storm, We Have Embraced the Eye」
ドイツ産デスメタルバンドの3rd。
前作にてオーソドックスなデスメタルとクラシカルメタルの様式美とを融合させた彼らが見せた次のステージは、クラシカルな構成要素をNWOBHMのようなメロディというわかりやすいものへと移行させ、全体をストーナー的滋味のある音像に塗り替えた、まさに"異形"であった。
しかしその実、世界を構築するすべての要素が堂々たる佇まいを見せており、見事にChapel of Diseaseとしてのメタルが完成されている。初めて聞いたときは度肝を抜かれた。
No.1
OBSCURA 「Diluvium」
ドイツ産テクニカルデスメタルバンドの4th。
傑作「Akróasis」よりプログレッシブに、よりメロディアスになりながらも、幾重にも深化したObscura的デスメタルは、機械のような精密さの中に唯一無二の美しさを兼ね備えリスナーの感情を揺さぶってくる。
様々なジャンルをクロスオーバーさせながらも独自の世界を築く彼らの様式美はとどまる事を知らない。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
ブログを更新しなくなって久しいですが、年間ベストは一年の総決算という意味でも、自分なりに纏めたいなという気持ちがあるので、衝動的にですが作りました。
SatanやHigh on Fire、Ghost、Yob、Voivodなど聞こう聞こうと思っていてまだ聞けていないアルバムもかな~りあるのですが、とりあえず自分の2018年ベストはなんとか形になったかなと思います。
便宜上ObscuraをNo.1に推しましたがずば抜けたアルバムは無かったかなと思います。年末になってリリースされ衝撃を受けたChapel of DiseaseやEternity's Endなどこまめに情報をチェックしていたのが功を奏しました。
振り返ると本当にいいアルバムが多かったなと思います。毎年思いますが、一枚をじっくり聞く余裕も無くなりつつあり、仕事と趣味とのバランスが取りづらくなっているなぁと歳を取るごとに感慨深くなってしまいますが、いつの時代も刺激を与えてくれる音楽たちに敬意を表しつつマイペースにやってききたいと思います。
タイトルはいろんなサイトからのパクりです。
No.30
TOMB MOLD 「Manor of Infinite Forms」
カナダ産デスメタルバンドの2nd。
初聞きバンドだが、その強烈な死金属世界にガツンとやられてしまった。
地を這いずり回る重厚なリフに差し挟まれるなんとも言い難いフレーズが、じわじわ効いてくるボディブローのようにクセになってくる。
No.29
RIVERSIDE 「Wasteland」
ポーランド産プログレッシブ/ゴシックロック/メタルバンドの7th。
オルタナ化して久しいが、初期からのヨーロピアン的ゴシカルな雰囲気は根底にいつまでもあり続け、しかし抒情や哀感などは一条の光明のように変換され、どのようなスタイルになっても"Riverside"の矜持は保ち続ける。
そんな音楽家としての彼らに尊敬の念を禁じ得ないのです。
No.28
MANTICORA 「To Kill to Live to Kill」
デンマーク産プログレッシブパワーメタルバンドの8th。
前作から8年も経っちゃってるのねぇ。ぼくの大好きな「Hyperion」を彷彿とさせるアルバム構成で、デンマーク産らしいプログレ風味もがっつり決まってる。
そのめちゃくちゃ硬派なヘヴィ/パワーメタル然とした音楽性は健在で否が応にも血が滾ります。
No.27
WIEGEDOOD 「De Doden Hebben Het Goed III」
ベルギー産ブラックメタルバンドの3rd。
1stから続く三部作の最終作ですね(全部は聞いてないですが)。アトモスフェリックな部分とトレモロリフに乗せたFastでCoolなハードコア部分に身体の隅々まで蹂躙されていく錯覚を覚えます。
No.26
AUGURY 「Illusive Golden Age」
カナダ産テクニカルデスメタルバンドの3rd。
祝・Augury復活!(別に解散してない)ということで約9年ぶりのアルバムです。
個性的でテクニカルなバンドが多いイメージのカナダですが、Auguryも御多分に漏れずカナダ産テクデスの潮流に鎮座しています。新譜では前作、前々作に見られたコズミックで面妖な雰囲気は鳴りを潜め、ワールドワイドなわかりやすさを兼ね備えたテクデスとなっていました。
No.25
SEVENTH WONDER 「Tiara」
スウェーデン産プログレッシブメタルバンドの5th。
発売までが長かった新譜ですがやっとこさリリースされました。
歌メロの充実度がハンパなく、2nd「Waiting in the Wings」にも匹敵するほど美しい旋律が随所にちりばめられています。
楽曲を彩る各プレイヤーの技術もさることながら、Kamelotでの経験を生かしたTommyのさらに伸びやかになったハイトーンヴォイスが中核となり新たなファン層を取り込むであろう傑作に仕上がっています。
No.24
BEYOND CREATION 「Algorythm」
カナダ産テクニカルデスメタルバンドの4th。
先行公開された"The Inversion"を聞いた際、2ndっぽい曲だなぁと思い楽しみにしていた念願の新譜。
アルバム全体としては3rdに近いが、縦横無尽にうねりまくるベースのプレイに魅せられまくりで満足でした。
No.23
OUTER HEAVEN 「Realms of Eternal Decay」
アメリカはペンシルバニア産デスメタルバンドの1st。
腐臭漂うオールドスクールデスで、突然鳴り響く不協和音やパワーヴァイオレンス的な突進力など単に重低音でぐちゃぐちゃに攻めまくるデスメタルではなく、きちんとした構成が取られており緩急の妙により気持ち悪いリフが目立つこと目立つこと。Skaletal RemainsやBlood Incantationの系譜に連なる地獄デスの新人です。
No.22
ALKALOID 「Liquid Anatomy」
Christian MünznerやHannes Grossmann、ObscuraのLinus Klausenitzer、Dark FortressのMoreanなどが集まったプログレッシブデスメタルバンドの2nd。
プログレッシブデスと一言で片づけていいのかわからなくなるほど音楽性を言葉にするのが難しい。
その難解な楽曲群は超絶技巧に彩られた醜悪なほどに美しい小宇宙のようで、その深遠を覗くことを躊躇われるほど独自の世界を築いている。
No.21
NECROPHOBIC 「Mark of the Necrogram」
スウェーデン産メロディックブラックメタルバンドの8th。
結成は1989年と既にベテランバンドの域だが、その勢いは衰えることを知らず、最高のメロブラアルバムを作り上げてくれた。
オープニングナンバーのタイトルトラックから悶絶級のリフレインを聞かせてくれ、何回昇天したことか。
No.20
RIVERS OF NIHIL 「Where Owls Know My Name」
アメリカはペンシルバニア産プログレッシブデスメタルバンドの3rd。
各所で絶賛されているアルバムで、今年のデスメタル界を代表する一枚だと思う。
練られた曲構成と管楽器の使い方が絶妙で、メタルという一ジャンルにとどまらない可能性を秘めたミュータントのようなアルバム。
No.19
SKELETONWITCH 「Devouring Radiant Light」
アメリカはオハイオ産ブラッケンドスラッシュメタルバンドの6th。
ブラッケンドスラッシュというカテゴリ名をそのまま体現したような彼らだったがここにきて方向転換。リフがブラック然としてきてランニングタイムも長尺に。
それでも彼らの従来の良さは失わず絶妙なバランスで新たな地平を打ち出したのは見事と言う他無い。
No.18
ALTERBEAST 「Feast」
アメリカはカリフォルニア産テクニカルデスメタルバンドの2nd。
なにも奇を衒わない近年によくあるメロディックデスライクなテクデスだが、一曲一曲がスピーディ、それでいてフックのある曲展開で飽きずに聞ける手軽さもあり今年はよく繰り返し聞いていました。
たまにそれブラダリやろ!っていうフレーズがあったりするのがアレだが……まぁカッコいいのでよし。
No.17
ALTARS OF GRIEF 「Iris」
カナダ産フューネラルドゥーム/ブラックメタルバンドの2nd。
フューネラルドゥームと言いながらブラックメタル的ブラストビートも盛り込んでいるため、かなり聞きやすく緩急が付けられている。
そしてなによりもメロディが号泣必至で秀逸。
No.16
PANEGYRIST 「Hierurgy」
アメリカはイリノイ産アヴァンギャルドブラックメタルバンドの1st。
かつてのKralliceを思い起こさせるようなトレモロリフが迸るブラック然とした音像から、ここではないどこか違う世界へ連れて行かれてしまうような胡散臭い宗教的コーラスが鳴り響く様は危険なにおいしかしないとアンテナがびんびん反応してしまうし、そこからとっつきやすくキャッチーなメロディも聞こえてくるのが余計にタチが悪い。何回でも聞いてしまう不思議な魅力に溢れている。
このバンドを知れたことで2018年はいい年だったと思えるくらい、衝撃を受けた作品であり収穫でした。
No.15
CARNATION 「Chapel of Abhorrence」
ベルギー産デスメタルバンドの1st。
Asakusa Deathfest 2016で来日を果たした彼ら。往年のスウェディッシュデスそのままの音で、これだけで食指が動く人はマストバイでしょう。
1st特有の荒削り感が功を奏し、むちゃくちゃカッコよく仕上がってます。急転直下にリズムが変化するところで脳汁ドバドバ出てしまう。
No.14
HORRENDOUS 「Idol」
アメリカは南カリフォルニア産プログレッシブデスメタルバンドの4th。
Atheist、Gorgutsから始まったデスメタルの支流、テクニカル/プログレッシブデスはその後様々な分派を生み出したが、中でもHorrendousは真っ当なプログレッシブデス、支流の直流と言ってもいいのかもしれない。と思わせてくれるような見事な構築美を魅せる作品。
No.13
HARAKIRI FOR THE SKY 「Arson」
オーストリア産ポストブラックメタルバンドの4th。
ひたすらメロディックに疾走するだけでなく、ところどころで聞かれるフォーキッシュな音像もなお良しで、これはもうポストブラックというよりもメロディックブラックやメロディックデスにも通じる泣きの旋律が素晴らしい。
No.12
TRIBULATION 「Down Below」
スウェーデン産デス/ブラック/ゴシックメタルバンドの4th。
前々作「The Formulas of Death」から光るものを感じていたが、ここにきてこういう形になったのは驚いた。前作「The Children of the Night」で見せた妖気漂う雰囲気をさらに推し進め、彼らにしか奏で得ないゴシカルでエロティックな音像となった。
さながらエドガー・アラン・ポーの「黒猫」「ウィリアム・ウィルソン」などの怪奇小説、「ローズマリーの赤ちゃん」など古典ホラーの面影を探してしまうような音楽性である。幻想小説の匂い漂う傑作です。
No.11
SLUGDGE 「Esoteric Malacology」
イングランド産ブラッケンドデスメタルバンドの4th。
地味に1stから聞いている彼らがここにきてメインストリームへとのし上がってきたな、という印象。1stの頃はナメクジやらスライムやらをコンセプトとする独特すぎる世界観と侮れないクオリティの相反する奇妙さが可笑しく、公言しないまでも注目していました。
それが今作になり、その個性的すぎるコンセプトそのままにブラックメタル譲りの粘性を帯びたリフワークといい一筋縄ではいかないリズムといい、ネタバンドとして消化されることもなく多くを聞いてきた玄人をも納得させる説得力を持つ逸品となったように思う。
No.10
KHEMMIS 「Desolation」
アメリカはコロラド産ドゥームメタルバンドの3rd。
古き良き様式美を湛えながら進行するキャッチー且つドゥーミー、そしてエネルギッシュなリフ群には宝石のような煌びやかさえ感じてしまう。
力強くも哀愁のあるメロディはヨーロピアンな味わいも深く感じられ、独特の湿り気を帯びている。
No.9
REVOCATION 「The Outer Ones」
アメリカはマサチューセッツ産テクニカルデス/スラッシュメタルバンドの7th。
メロディックデスにテクニカルデスを混ぜたような初期の音楽性からコンスタントにアルバムを作り続け、漸くRevocation流のデスメタルが完成したのではないかな。
一聴してまさしくRevocationと思わせる音像からどこに着地するかわからない狂気性を孕んだ危うさを絶妙なバランスで保ちながら疾走するデスラッシュに気づいたらリピートが止まらなかった。
No.8
DEAFHEAVEN 「Ordinary Corrupt Human Love」
アメリカはカリフォルニア産ポストブラックメタルバンドの4th。
前作「Bermuda」より前々作「Sunbather」の流れを汲んだアルバム、といえばピンと来る人も多いだろう。
ポストブラック界の寵児となって久しいが、どの方向性でもDeafheavenだと一発でわかるし、好み如何に関わらずクオリティの高さには頷かずにはいられない。
No.7
ETERNITY'S END 「Unyielding」
AlkaloidのChristian Münzner、Hannes Grossmann、Symphony XのMike LePond、元HibriaのIuri Sansonらが集まったスーパープロジェクトバンドの2nd。
ウルトラ技巧集団が本気でメロパワをやったらとんでもない作品ができちゃいましたという好例。
基本は押さえながら各プレイヤーの技術をふんだんに盛り込んだメロパワにニヤニヤが止まらなかった。ところどころHibriaにしか聞こえない部分があるのは御愛敬。
No.6
THE ARMED 「Only Love」
アメリカはミシガン産ハードコアバンドの2nd。
こんな突然変異なアルバムが出るくらい今の音楽の傾向は全く読めない。自分の中のハードコアという常識をぶっ壊された気分。
理知性と衝動が混濁した言い知れない恍惚感は初めてMelt-Bananaを聞いたときのよう。ジャケットもイカしてる。
No.5
SLEEP 「The Sciences」
アメリカはカリフォルニア産ドゥームメタルバンドの5th。
ドゥームの聖典「Jerusalem」から20年。Sleepの新作がリリースされるという記念すべき年となった2018年は伝説となったのかもしれない。
さあ、みんなもマリファナのテーマを聞いてトリップトリップグルグルグルグルグルグルグルグルグ..................
No.4
AMORPHIS 「Queen of Time」
フィンランド産メロディック/ヘヴィメタルバンドの14th。
彼らの真骨頂である雄大なフィンランドの自然を想起させるメロディとTomi Joutsenの優しく語りかけるような、ときに力強く歌い上げる歌唱が、AmorphisがAmorphisたるアイデンティティを決定付けているのは周知のところだが、これだけ枚数を重ねてもAmorphisとしてのレベルを落とさず常に進化しているのはすごいとしか言いようがない。
No.3
SULPHUR AEON 「The Scythe of Cosmic Chaos」
ドイツ産ブラッケンドデスメタルバンドの3rd。
今作もクトゥルフの世界観は健在。未知の惑星・ユゴスより去来した巨いなる存在が脳髄に浸潤してくる様は否が応にも畏怖の感情を抱かせる。
どんな宗教音楽よりも説得力に満ちたSulphur Aeonの描くブラック/デスメタルは身体が震えるほどカッコいいのである。喩えそれが根源的な恐怖であったとしても。
No.2
CHAPEL OF DISEASE 「...and as We Have Seen the Storm, We Have Embraced the Eye」
ドイツ産デスメタルバンドの3rd。
前作にてオーソドックスなデスメタルとクラシカルメタルの様式美とを融合させた彼らが見せた次のステージは、クラシカルな構成要素をNWOBHMのようなメロディというわかりやすいものへと移行させ、全体をストーナー的滋味のある音像に塗り替えた、まさに"異形"であった。
しかしその実、世界を構築するすべての要素が堂々たる佇まいを見せており、見事にChapel of Diseaseとしてのメタルが完成されている。初めて聞いたときは度肝を抜かれた。
No.1
OBSCURA 「Diluvium」
ドイツ産テクニカルデスメタルバンドの4th。
傑作「Akróasis」よりプログレッシブに、よりメロディアスになりながらも、幾重にも深化したObscura的デスメタルは、機械のような精密さの中に唯一無二の美しさを兼ね備えリスナーの感情を揺さぶってくる。
様々なジャンルをクロスオーバーさせながらも独自の世界を築く彼らの様式美はとどまる事を知らない。
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ブログを更新しなくなって久しいですが、年間ベストは一年の総決算という意味でも、自分なりに纏めたいなという気持ちがあるので、衝動的にですが作りました。
SatanやHigh on Fire、Ghost、Yob、Voivodなど聞こう聞こうと思っていてまだ聞けていないアルバムもかな~りあるのですが、とりあえず自分の2018年ベストはなんとか形になったかなと思います。
便宜上ObscuraをNo.1に推しましたがずば抜けたアルバムは無かったかなと思います。年末になってリリースされ衝撃を受けたChapel of DiseaseやEternity's Endなどこまめに情報をチェックしていたのが功を奏しました。
振り返ると本当にいいアルバムが多かったなと思います。毎年思いますが、一枚をじっくり聞く余裕も無くなりつつあり、仕事と趣味とのバランスが取りづらくなっているなぁと歳を取るごとに感慨深くなってしまいますが、いつの時代も刺激を与えてくれる音楽たちに敬意を表しつつマイペースにやってききたいと思います。